桜の花が咲き誇り、新入生の初々しい姿に喜びを感じます。春は、確かに喜びの季節です。寒風に震えていた冬に縮んでいた心も、春と共に軽やかに膨らんできます。四季があるように、人生にも四季があります。木には年輪ができますが、季節変化の少ない地域の木には年輪がないものもあるそうです。
針葉樹と広葉樹では木目が異なり、木目が細かい木ほど堅く重くなります。暖炉やストーブには広葉樹を使います。広葉樹は、火持ちが良く、火力が安定していて煙や煤が少なく、針葉樹は燃えやすいのですが、直ぐに燃え尽きてヤニが多く、煙や煤が出ます。暖炉に使う薪は2年程度乾燥させます。
木材の使い方も異なります。杉は、木目が真っ直ぐで水に強く軽くて加工しやすく、松は油分が多いので耐水性、耐久性に優れていますが、日本では貼り合わせて真っ直ぐな材木にしようとするので、乾湿の差で痛みやすくなります。ログハウスの材料は70mにもなるレッドシダー(米杉)を使います。日本の木材では寒暖の差や雨や陽に持ちません。重い物を置く台なども頑丈な木材を使います。
日本の建築物の法定耐用年数は欧米に比べてかなり短く、木造22年、鉄筋コンクリート造47年ですが、イギリス75~140年、アメリカ60~100年、ドイツ50~80年と長く、原因は日本が新築を好む文化があり、用いる資材が違います。
日本では古来火事が多く、類焼を覚悟して、長く家を持てないと覚悟していたからかもしれません。法隆寺は1400年も前の建築物です。タワーマンションの耐久年数が問題になっていますが、エンパイアステートビルは1931年の完成です。
定年退職という規定は欧米にはなく、もしアメリカで年齢を理由に退職を迫ったら違反になります。人生の耐用期間も日本人は短く捉え過ぎています。私たち夫婦は、90歳過ぎても働いていこうと考えています。そのためには、素材となる身体を頑丈に造り上げなければなりません。安易な生き方は、その人生を脆くしてしまいます。風雨に耐え、困難な状況でも崩れてはいけません。
事務長 柏崎久雄
まず、わかりやすく間違った健康づくりのポイントを指摘しましょう。
① 体重を減らそうとすること。
② 運動をするほど良いと思い込むこと。
③ 充分必要な物を食べていると思い込むこと。
筋肉を付け健康になろうと毎日ひたすら時間を掛けてランニングをするのですが、次第に疲れやすくなり、頭もボーとしていることが多く、ろれつも回らなくなってきました。ビタミンB群が必要な低血糖体質だったのですが、以前その摂取を怠っているうちに仕事ができなくなったことがありました。10年以上経ち体力を回復してきたので、経済上いろいろと節約して、努力で体力を強化しようと考えたようです。家庭菜園を借りて野菜を育て、タンパク質は安価な鶏肉で補っていましたが、次第に仕事でも生活でもミスが多くなってきました。
原因は、ランニングをし過ぎて身体が消耗し、貧血と血中アルブミン値がかなり低くなるほど栄養不良になっていたことです。赤血球を構成するヘモグロビンは、タンパク質とヘム鉄とビタミンBによって生成されます。鶏肉は赤くなく白い色をしていますが、牛肉や豚肉は赤くて鉄分や亜鉛が豊富に含まれています。運動をする人がヘモグロビン不足では十分な酸素を供給できずに身体を壊していきます。食べる鶏肉の量も十分ではなく、豚肉を200g以上毎日食べるようになってから急激に健康を回復しました。
調べるには、タンパク質の状態として血中アルブミン値が大事です。フェリチン値も貧血を調べるのに必要です。
人に迷惑を掛けることなく元気に生きようと努力を続けるのですが、計画通りに生活しようとして無理をし、少しずつ健康を害して、栄養不良になり、認知症になっていきました。弱さを見せるのが嫌で、自分が病気とか不健康と思われないように務めるのですが、人付き合いも一方的になり、助言やアドバイスも聞かなくなってゆきました。
家族も周囲の人も、認知症の症状を理解しておらず、歳を取ったのだからそんなものだと軽く考えていたようです。本人がはっきりと「やった。わかっている。」などと言っても、それを確認することが大事なことを重症になってから気が付くようです。特に、プライドの高い人、頑固な人、一方的な物言いをする人には注意が必要ですが、普段からそのような人に認知症を疑うような会話をすると怒ってしまい、話にならないので、周囲は判断やアドバイスを控えてしまうようです。
彼女は自分でも健康不安を覚え、身体を強くしようとしてなるべく時間を掛けて散歩をしようとしました。しかし、それが却って身体を消耗させてしまったのですが、疲れてしまい、食事を作ることも食べることも十分にできなくなっていきました。眠れなくなり、不安を覚えて友人と電話をするのですが、自分の不安を正直に伝えることも恥ずかしく、友人たちも変だとは思いながら、ただ、話に合わせることや助けることで済ませてしまっていました。
認知症では判断力も低下するために、自分の状態を把握して適切に対処することが困難になってきます。医師が食事をきちんと摂っているか、タンパク質が不足しているけれど肉は食べているかと聞いても、「十分食べている。」と答えていました。自分の弱さを指摘されても、それを認めて是正する力がなくなっていたのです。
さて、これらの例を聞いてどのように思われたでしょうか。
私自身が大病院で健康指導を受けた時、管理栄養士が私の体重だけを診て「もっと痩せた方が良いですね。」と言われました。娘も同行して聞いていたのですが、後で娘は、「もっと丁寧に検査数値を診て指導するのかと思ったら、体重しか確認していない。お父さんが何か反論するかと思っていたけど。」と腹を立てていました。私は60歳くらいで体力の衰えを自覚して、少しずつ身体を鍛え始めて、体重はあまり変わらないのですが、お腹周りの脂肪はほとんどなくなり、首回りも2センチ以上減りました。そして、筋肉は普通以上にあります。そんな様子を知っている娘は、父親が誉められると思っていたのに、体重だけを診て「痩せるように。」と言う管理栄養士に驚いたのでした。
和田秀樹医師の「65歳からは戦略的ちょいデブ」(青春出版社、2026)という本が面白いので引用します。
アメリカ疾病管理予防センターが様々な人種の約288万人を対象に、BMIが「18.5~25未満の標準体重グループ」と「25~30未満の過体重グループ」を比較調査した結果、過体重グループのほうが死亡リスクが6%低いことがわかりました。(同様のことが、福岡県久山町でも、宮城県でも報告されたそうです。)
アメリカの国民健康栄養調査でも、最も死亡率が低かったのはBMI25~29.9の人たちで、逆にBMI18.5未満のやせ型の人は、その2.5倍も死亡率が高かったそうです。
「肥満パラドックス」=「太っていると悪化する」と思われている病気でも、実際には太っている人のほうが予後が良い。
沖縄は1980年代まで平均寿命が全国トップクラスであったけれど、脂肪を減らした食事を推奨されるようになって、2020年には平均寿命が全国43位にまで落ちてしまったそうです。
日本人男性が最も死亡率が低く、長生きできる体重は身長170センチならば78キロです。BMIで言うと約27です。
高齢者追跡調査では、「痩せている人(BMI18.5未満)ほど認知症の発症率が高い。」その理由は、栄養が不足すると、脳に必要なエネルギーや神経伝達物質の材料(タンパク質や脂質)が届かなくなり、筋肉が落ちると脳への刺激も減るからです。
健康な高齢者が病気やケガで10日間入院して安静にしていると、10年から数十年分の筋肉が一気に失われると言われています。転倒による骨折入院がもとで認知症になる人も多くおります。
筋肉の75~80%は水分でできているため、筋肉が減ると身体の保水力が下がり、熱中症や脱水症状を起こしやすくなります。
食べる量が減ると喉の筋肉を使う機会が減り、嚥下力が下がって誤嚥性肺炎になるリスクも増えます。肉を食べることは辛いという高齢者は、よく噛んで食べると消化力を助けることができ、肉に含まれるセロトニンが気分を改善し、食欲も増してきます。
「眠れない」という高齢者が多いのですが、タンパク質不足でセロトニンが分泌されなくなっています。また、睡眠導入剤には副作用として筋弛緩作用があり、筋肉に力が入らず転んでしまうことがあります。
肉や魚に含まれるタンパク質やコレステロールは、心の安定や意欲を司る脳内物質のセロトニンやドーパミンの材料です。あっさりとした食事を摂っていると、心の安定に関わる脳内物質が不足してしまいます。
日本の医療現場では、基準値を超えること(高血圧、高血糖、過体重)などのリスクを強調しますが、「不足」のリスクは説明されません。
70代になると男性ホルモン(テストステロン)の減少が顕著になります。テストステロンは、性機能だけでなく、筋肉の維持、記憶力、意欲、冒険心、公共性などを司ります。女性は、閉経後に女性ホルモンが減少するため、相対的に男性ホルモンが優位になり、活動的で社交的になるのです。
亜鉛は、テストステロンを活性化させ、筋肉や骨を作る働きがあり、不足すると、味覚障害、貧血、抜け毛、免疫力低下、認知機能の低下まで招きます。亜鉛を多く含む食材は、牡蠣、うなぎ、レバー、赤身肉、カシューナッツなどです。
以上が和田秀樹医師の言われることです。私たちが主張する栄養医学と重なる部分が多いので、引用させていただきました。
「サプリを摂っている。」と言われるけれども、実際には栄養摂取が不十分な人がいます。特に、タンパク質の不足が多く見られます。先月説明したように、サプリはあくまで「補足、追加」です。
体重(kg)×1.14g/日が必要ですが、高齢者は体内での再利用率が悪くなるので体重(kg)×1.5g/日摂ることが大事です。ところが、多くの人が長年にわたるタンパク質不足でタンパク質消化酵素が不足してタンパク質の消化が難しくなり、お腹がもたれたり、ガスが出たりして摂取量が不足して身体を弱くしてしまいます。また、若い人にお勧めの鶏のササミ肉などは、赤身肉に比べて鉄分、亜鉛、ミネラル、脂質が不足しており、十分な栄養になりません。
タンパク質不足では、肌・骨・歯・髪の毛・関節・血管・内臓・免疫力・ホルモン・酵素が弱く足らなくなり、一度病気になると回復が遅くなり、身体が衰えます。がんや病気にも罹りやすくなります。不足している場合には、どうしてもプロテインなどのサプリメントが必要ですが、それで足りているわけではありません。納豆(7g)、卵(6g)、豆腐(半丁10g、安価な増量品ではだめ)、豚赤身100g(20g)、これを全て足しても43gで十分ではありません。
朝食は英語でBreakfast(断食を破る)という意味です。朝食前に運動しては身体を壊します。運動の最初15分ほどは血中のブドウ糖を消費し、次いで筋肉内のグリコーゲン、アミノ酸、脂肪酸を用います。更に運動を続けると、身体の各部を分解してエネルギー源とするために身体を壊していきます。空腹時の運動もやめてください。
筋肉は、筋肉を使い、筋肉が壊れ、修復することで、強い筋肉がつくのですが、それに必要なタンパク質がないと、壊れたままで筋肉が少なくなってしまいます。血清アルブミン濃度が4.1~5.1g/dlが正常値ですが、冒頭の例の2人は3.5/dlほどでした。このような状態で必死に運動するのは、運動すれば筋肉が付く、元気になる、という誤解があったからです。
長時間走ったり、歩いたり、運動することは、身体には大きな負担となります。高齢者が必死にランニングをしたり、早歩きをしている姿をしばしば見ますが、若い人には体力づくりになることが高齢者には命取りになります。運動後の栄養補給も大事です。
「十分食べている。」、「好き嫌いはなく、何でも食べている。」という言葉に惑わされてきました。何をどれだけ食べているか、どのような生活をしているか、栄養指導には十分気を付けて確認しなければなりません。
「朝はパン一枚に卵一個、ヨーグルトにコーヒー」、「昼はラーメンかサンドイッチ」、「夜はご飯に納豆に、漬物に、煮物」。こんな具合の人は多くおりますが、ざっと確認して、タンパク質は25~30gでしょうか。これにプロテインを大匙一杯摺り切りで5g、2杯で10gでは全く不足しています。
「あっさりとした食事が良い。」という人は、既にタンパク質不足で消化酵素が足りずに肉や脂質を消化できなくなっている証拠です。うどんやお茶漬けでは免疫力は落ちるばかりです。調理や片付けが面倒なので、魚を食べなくなる人も多くなっています。魚に含まれるEPAやDHAは体内では合成できませんが、血液の循環や脳神経の形成には必須なものです。このような人はサプリメントで摂ることが必須になってきます。
ビタミンやミネラルが不足する人も多くなっています。「歳なのだからしょうがない。」と捉えてしまうとどんどん体力が落ちて生活の質が悪くなります。緑黄色野菜も値段が高くなり、少人数だと買うのも面倒になりがちです。簡単に食べられるパンや加工食品に頼りがちになります。身体の弱っている人・免疫力の弱い人・高齢者には、加工食品や菓子パンは毒のようなものになりがちです。
外出や買い物、美味しい物を食べる、友との交流、趣味に励む、このような生活が大事です。一人だけで過ごし、夫婦でも、誰ともあまり話さない。喜びの無い人生は、残念な結末をもたらします。免疫力は、交際力と関係しているようにも思われます。楽しく、明るく、仲良く生きることを心掛けてください。
柏崎 久雄
・株式会社ヨーゼフ 代表取締役社長
・マリヤ・クリニック 事務長
・千葉福音キリスト教会 牧師
妻(マリヤ・クリニック院長)が低血糖症なのをきっかけに、分子整合栄養医学を勉強し、2004年にサプリメント会社を設立