先日、友人たちと旅をして羽目を外して食べ過ぎました。私は痛風体質で40歳の時に肘や膝、そして顎が腫れて、動くことも噛むこともできなくなり苦しみました。それでプリン体の多い物を食べるのを慎み、ビールも飲みません。その傍らで妻は、それらの食物が大好きで食事にはよく使います。体重を減らすことも必要なので、運動を重ねてウエストを5センチほど減らしました。尿酸値が高くなると尿が臭くなるため、ビタミンCを摂ることで尿酸を排出します。これらによりその後、痛風の症状は出ていません。
65歳を過ぎて、油物を食べると肝臓の辺りがだるくなり、検査すると胆汁がうっ滞しているとのことで、70歳の時に胆嚢を切除しました。ところが、やはり油肉や揚げ物を食べると肝臓の辺りが痛くなります。胆汁の肝臓からの分泌が悪いのでしょう。元気な友人たちが美味しそうに食べているのを見ながら付き合って食べていましたが、友人たちに自分の弱さを伝えたくはありません。その後、一週間は肝臓に負担を感じて横になる時間が多く、これからは正直に伝えて無理をすまいと反省しました。
妻は低血糖体質なのでいつもよく食べ、筋肉も付きづらいです。3食だけの食事ではエネルギー補給が十分でなく、食間に栄養を補給することが必要なのです。付き合うと、私は肥満になるので、食事の量は妻の三分の二ほどで、間食は辞退します。
夫婦でゴルフは続けています。飛距離が落ち、クラブは昔より飛ばなくなり、距離を合わせるのを苦労してきましたが、どうにか慣れてきてスコアは100前後です。妻はドライバーを新しくしたら飛び始めたのですが、スコアは気にせず、ピクニックと思ってるようで、ホール間のおやつを楽しんでいます。うまくなりようがありません。
休日は、別荘で野菜を育て、ガーデニングをしています。妻は、治療法を学んだり、調べたりしながら、ピアノを弾き散歩を楽しんでいます。別荘は贅沢かと思いましたが、おかげで長く働けそうです。この調子ならば、105歳まで医療を続けられた日野原重明医師のようにクリスチャン医師として長く働こうと夫婦で語り合っています。
事務長 柏崎久雄
厄歳として、身体の変化に気を付けなければならないとされる年齢があります。数え年で、男性は25歳・42歳・61歳、女性は19歳・33歳・37歳・61歳とされ、その前年を「前厄」、翌年を「後厄」として、身体の変化があります。これは、厄払いというよりも、心身や立場、環境に変化の大きい可能性が高いので気をつけなければならないという注意喚起の年齢ということでしょう。
人が健康管理に気を付けなければならない時期は以下のようであると思われます。
これらの年齢に特徴的なことがあります。
卵子から分裂して胎内で身体が形成される最も大事な時期です。母体の栄養を犠牲にしても、胎児の形成に必要な栄養素が確保されます。しかし、多くの女性がこの妊娠期に必要な栄養を体内に確保していないために、胎児への栄養補給だけでなく、産後の母親の体調が悪くなり、母乳の供給も十分にできなくなっています。
鉄は胎児の造血に必須で、母親を貧血にしても確保させようとします。産前産後の体調不良は貧血によることが多いのです。胎児の骨の形成のためにカルシウムも必要で、不足すると母親の骨や歯から補給しようとするので、院長は出産する度に歯が一つ抜けていました。院長が夜中に台所で煮干しをそのまま食べていたのは忘れられません。鉄やカルシウムは神経系の成長に必要なために不足すると、精神や情緒の不安定に繋がります。
厚労省は葉酸とビタミンB12の積極的補給を妊婦に訴えています。細胞分裂や脳の形成に必要だからです。ビタミンB群を十分に摂ると頭の良い子が生まれます。ビタミンCと共につわり対策にも有効です。
タンパク質は身体を形成するものですから、妊娠したら二人分の摂取を自覚してください。
この時期に母親が煙草を吸うと、ニコチンは胎盤内の血流を低下させ煙草に含まれる一酸化炭素と結合して酸素不足にもなり、発育障害や性格にも影響を与えます。お酒を飲むと、亜鉛やマグネシウムなどが尿中に排泄され、アルコールは胎児の脳の形成に影響します。
妊婦は水銀濃度の高いマグロを食べることを控えるように厚労省は伝えていますが、外国ではエビ・鮭・タラも控えるように言われています。
薬物は、胎盤を通過してそのまま胎児に影響をするので、可能な限り摂取を控えるべきです。
乳児は栄養の量だけでなく質の良し悪しに対しても成人や年長児より敏感で、栄養素が足りなくなったり、偏っていたり、質が悪くなったりすると発達障害、生活力・免疫力の低下を起こし、過剰ならばすぐにその為の症状を引き起こします。乳児は腸の消化、吸収の仕組みが不安定で、未消化の大きな分子も吸収してしまう事もあり、特に食事によるアレルギーを起こしがちです。母乳栄養児の栄養は母乳に依存するので母親の食事内容が大切です。
乳児の栄養摂取方法は、発育の過程に伴って変化していく事も特徴の一つで、乳児期の後半は消化能力の発達につれて半流動の離乳食の時期を経て次第に固形食となり、成人食に近づいていくのです。消化吸収の体力には個人差がありますので、便の状態を見ながら固さと量とを調節していって下さい。離乳食は6ヶ月頃から開始されます。
親は早く成長させようとしますが、身体と精神の成長の基盤となる時期です。ゆっくり落ち着いて成長を助けてください。母親が貧血や栄養不足ですと、母乳が出なくなることもあります。そうであっても焦らず、他の子と比較せず、栄養を与え過ぎないようにしてください。また、この時期に糖分(砂糖など)は必要なく、精製糖は急激な吸収で血糖値を上げてしまい、身体によくありません。消化の悪い脂肪分の摂取も控えます。タンパク質はアミノ酸まで分解されて吸収されるのですが、乳幼児の腸は未成熟で大きな分子量のタンパク質も吸収してしまい、食物アレルギーを誘発してしまいます。タンパク質の分解酵素は、生後1年で成人に近づきます。
母乳は、子どもの成長に合わせて成分が変わってきます。生後6カ月までは成長に必要な鉄分やビタミンCが多く、細胞分裂に必要な亜鉛は初乳をピークにその後も多く供給されます。亜鉛を必要とする味蕾は2歳までに作られます。成長の基本となるタンパク質はアミノ酸に分解されるまでは異種タンパク質ですから、腸管が完成する3歳までは母乳による供給が大事なのです。
母親がお酒を飲むと、母乳中のアルコール濃度は最大で母体の血中アルコール濃度と同程度上昇すると言われ、この母乳を乳児が飲めば、乳児もアルコールを飲んだことになります。
母親がアトピー性皮膚炎の場合、お母さんは卵や牛乳を控えめにします。月齢が小さい程、卵や牛乳の未消化タンパク質が母親の母乳に混入することが原因でアトピー性皮膚炎の重要な促進因子となることがあります。育児用ミルクからも、牛乳タンパクがたくさん子供に入っていきアトピー傾向を強めていきます。アレルギーがあるようなら早めに専用の育児用ミルクに変更すると良いでしょう。
脳は生後6ヶ月で出生時の約2倍、4~6歳で約3倍の重さになり成人の90%まで成長します。急速に発達する乳児期~幼児期に、栄養が極端に不足する期間が限度を超えると、回復の間に合わない決定的な損傷や障害を残すことがあります。
身体の諸器官は5歳くらいまでに基礎的に完成し、12歳くらいまでで強くなるための成長があり、その後18歳くらいまで(第2次性徴)成人としての身体が作られます。この時期に過激な運動を続けると、身体を損傷してその後の人生に影響を与えることになります。
この時期の食生活上の問題は以下のとおりです。
この時期は、通常、激しい活動と成長のために、大人が驚くほど食べるものです。この時期の味覚形成が生涯に亘って影響するので、親は注意しなければなりません。お菓子やケーキなどは糖分が多く、成長に必要な亜鉛やビタミンBなどを消耗するため、健康な身体や脳の発達を損ないます。揚げ物も衣に吸われている油の量が多くて高カロリーになり、消化吸収に大事な栄養素を多量に消費するので肥満・糖尿病・動脈硬化に至ります。
緑黄色野菜や丁寧に調理した肉・魚は健康の源です。この時期に手間を省くと、一生手の掛かる体質や生活習慣を身に付けさせてしまいます。食間のおやつも必要です。油・塩・砂糖の多いお菓子ではなく、卵・芋・ご飯・パンなどを簡単に食べられるようにしておくと良いでしょう。
朝食を抜くことは成長期の身体には悪く、孤食(一人で食べること)は、食習慣としても生活習慣としても良くありません。家族の団欒の中でゆっくりと会話を楽しみながら食べる習慣は、非常に大事です。
子供の肥満は年々増加し、学童期の児童の約10%が肥満であり、脂肪の摂取量の増加や自律神経の機能低下による基礎代謝・熱産生の減少や運動不足が原因と考えられます。高度の肥満では小児期から糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を合併します。小児肥満は成人肥満に高率(60~80%)で移行しやすく、成人した時の糖代謝、動脈硬化の危険因子に相関することが分かっています。
子供の生活から大人の社会生活に移っていく時期であり、ホルモンの分泌も激しく、感情的にも揺れ動きます。食生活が乱れると、その悪影響が心身にも及び、失望や挫折、過大な要求や決心となって、人生全体に悪影響を与えます。
40歳前後は、男性は働き盛りで責任も増え、女性も社会的に最も活躍し要求される世代です。
20代の元気さは運動不足とストレスで燃え尽き、アルコールや栄養の偏りで身体にガタが来てしまい、厄年と一般的に言われるような発病、体調不振、精神的不安定な症状が現れます。女性は更年期が始まりつつあります。
この時期に必要なのは、身体の機能を調節するビタミンB群とカルシウムやマグネシウムなどのミネラル、そしてタンパク質の摂取です。人間の身体は一週間に一日の休みを必要とするようにできており、睡眠時間も7時間以上取ること、ゆっくりと噛んで食事をすることが大事です。
女性は、胃を支える筋肉が少ないので胃下垂になる人も多く、胃の蠕動運動を行う筋肉も少ないので、消化不良になり、胃炎や胃潰瘍になる場合が多くあります。子宮を支える結合組織や、骨盤を支える筋肉が分娩で緩んでしまうことがあり、子宮下垂や子宮脱になってしまうこともあります。甘い物や脂肪の多く含まれている食物は控えましょう。
60歳ころに身体を壊すのは、社会的・人間的ストレスが多い様に思われます。子育てもひと段落し、仕事もうまくこなせるようになったけれど、家族や友人との交流が上手くいかないということが起こります。人の価値観や趣味、性格の違いが顕著になってきて、ストレスの発散がうまくいかなくなります。健康診断も促されるようになり、思わぬ病気や症状が露呈します。真面目に働いてきた身には、どのように対処するかわからず、定年後にすることもないので、楽な仕事を探して働き続け、次第にがんに侵されてきたりします。否定的なことを言いますが、健康管理に関心がない人が陥るパターンです。
加齢による骨格、または体型の変化を引き起こすのは、筋力の低下と骨密度の低下が原因です。背骨を支える周辺の筋肉が衰えると、背骨に負担がかかり、背部痛や腰痛、さらには背中や腰が曲がる原因になってしまいます。また、本来エネルギーを消費するはずの筋肉が衰えてしまうと、体内に残ったエネルギーが体脂肪となって沈着し、全身を丸い印象に変化させてしまいます。肥満防止とよく言われますが、そのようなスタンスですと、体重を減らすことに焦点が集まってしまい、必要な栄養を摂らなくなってしまったり、痩せることが良いように考えて、却って身体を弱くしてしまいます。大事なことは、筋肉を付け、それを維持することです。
残念ながら75歳になったら、もはや健康づくりには遅いと言わざるを得ません。若い時から運動を続けて筋肉がついていないと、その歳では筋肉を増やすことは難しく、筋肉がないと身体の各所に不具合が生じてきます。内臓を支え機能させるのも筋肉です。足の筋肉を鍛えようといくら歩いても、筋肉が少ない人は運動時のエネルギー補給ができないので筋肉が摩耗します。タンパク質は消化酵素や免疫細胞も構成し、75歳以降の健康は、タンパク質の貯蔵量に大きく依存します。
筋肉がなくても長寿の人はおります。自分なりの健康法を身に付け、良質の肉や魚を食べている人は長生きしています。但し、認知症にならないためにEPAなどが豊富な魚を食べ、緑黄色野菜や良質な肉を摂取していることが大事です。
病になってから回復するのは、とても大変なことです。老いてから若返ろうとすることは殆ど無理です。青年期の健康管理や食生活がその人の人生を左右することになることをわきまえることに気が付く人は殆どいないので、助け合い支え合うしかありません。
柏崎 久雄
・株式会社ヨーゼフ 代表取締役社長
・マリヤ・クリニック 事務長
・千葉福音キリスト教会 牧師
妻(マリヤ・クリニック院長)が低血糖症なのをきっかけに、分子整合栄養医学を勉強し、2004年にサプリメント会社を設立